設置者を問わず機能に応じた公財政支援を
教育の質を高め日本の未来を支える
1.国私間の格差
国私間の公的支援の格差は拡大し、学生一人当たりの基盤的支援は、私大生約14万円に対し国大生約177万円と13倍もの開きがあり、家計負担は国立の2.3倍に及ぶ。さらに施設・設備面の格差は大きく、施設・設備費の補助は過去20年間で170億円から91億円へとほぼ半減し、学生一人当たりでは国立の約32分の1にとどまる。
1975年に成立した私立学校振興助成法の附帯決議では経常的経費の2分の1補助が目標とされたが、その割合はいまや8.3%に過ぎない。しかも経常費補助は配分基準に基づき算定されているにもかかわらず、実際の配分は予算上限によって圧縮され、本来の額の6割にも満たない状況である。
2.「2兆円の教育国債」の創設を提言
私大連は、国公私立の設置形態に関わらず対等に競い合える環境を整える「イコール・フッティング」を提唱してきた。2024年、この考えを基に今後を見据えた「新たな公財政支援のあり方について」を公表し、約2兆円の「教育国債」を新規財源として発行することを提案した。これに既存の国立大学運営費交付金、私大経常費補助金、学生修学支援新制度の予算を合わせ、総額4兆円を「教育財源」として機関補助と個人補助へ再配分するというスキームである。あわせて、国立大学の授業料上限規制を撤廃して現実適合化を図り、修学支援の充実と私大への機関補助増額によって、真に公平な競争環境を整備することを求めた。
3.私学助成(経常費補助)分配の見直し
大学への公的支援は「国公私」という設置形態による区分ではなく、それぞれの機能や役割に応じて重点化すべきである。研究拠点型、高度専門人材育成型、地域課題解決型など、大学の役割が多様化する現代において、社会課題に対応した私立大学の人材育成を加速させるには、私学助成(経常費補助)の配分方法の転換が不可欠である。各大学の機能・特色、教育研究の質、社会貢献度に応じた評価連動型の支援へとシフトすることが求められる。
私大連は、「経常費補助の純増」を前提とした上で、理工農系学部などの単価引き上げをはじめ、機能や成果に応じたメリハリのある重点配分を主張している。
4.東日本大震災やコロナ禍における財政支援
災害大国である日本において、近年の大規模災害は社会インフラに多大な影響を与えている。さらに2020年からは、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックという未曽有の事態にも直面した。こうした予測困難な状況下にあっても、公教育を担う私立大学には学生の学びを継続させる責務がある。私大連は、いち早く学生と大学への緊急支援措置を国に対して要望した。
2011年の東日本大震災では、被災学生への授業料減免や奨学金の特例措置に加え、私立学校施設災害復旧事業に基づく「災害復旧費の2分の1補助」が適用された。さらに、私大連の要望等を背景に、被災した学校法人の極端な財政負担を軽減するための特別助成法案が国会に提出されるなど、法制化に向けた検討も行われた(結果は審議未了)。
2020年からのコロナ禍においては「学生の学びの継続」と「オンライン教育への移行・感染対策」への財政支援を強く求めた。その結果、困窮学生への現金給付や授業料減免措置が講じられ、大学がおこなった減免分を国が私学助成等で補填する仕組みの継続や、ICT環境の整備に向けた大規模な補助金も創設された。私大連は、休校やオンライン化、感染対策によるコスト増に直面する現場の状況を踏まえ、私学助成の増額とコロナ禍に対応する大学への特例措置を要望し、これが契機となり、法改正を待たずに私学助成の特別補助枠拡充や大型補正予算の編成が実現した。私大連の先導的な要望活動は大きな成果を収めることとなった。