本文へスキップ

私大連の役割と貢献

私大連の歩み

  • 私立大学を取り巻く環境が大きく変化する中、
  • 2001年以降の25年間で私大連が注力してきた
  • 7つの特徴的な取り組みを振り返る

Topic01

公財政支援の拡充に向けた活動

私大連の目的の一つは「大学の経営基盤強化に資する(定款第4条)」ことであり、公財政支援に関する活動は事業の根幹である。私大連は私立学校振興助成法の制定(1975年)以来、国の支援における不合理な国私間格差の是正を訴え、質の高い教育機関としての成長を後押しする経済的措置の拡充を強く求めてきた。加速する人口減少や科学技術の急速な進展の中、日本の強みである優秀な中間層を育成するためには、学生の8割を占める私立大学の教育の質を向上させ、学生一人ひとりの能力を最大化しなくてはならない。そのための効果的な公財政とは何かを追究している。税制改正においては、政府・与党への働きかけを強化し、学校法人への個人寄附における税額控除制度や教育資金一括贈与の非課税措置などの創設を実現してきた。

2024年には、急激な社会変化を見据え、公財政支援要望の集大成とも言える2兆円規模の「教育国債」創設を提言し、新たな公財政のあり方を公表した。

私大連は、私立大学が日本経済の新たなエンジンとなり、豊かな社会の持続的発展に貢献できるよう、国への働きかけを一層強めていく決意である。

主な活動

  • 予算要望・税制改正要望の取りまとめ
  • 文部科学省・財務省・国会議員への働きかけ
  • 災害時、コロナ禍における財政支援等の要望
  • 2024年「新たな公財政支援のあり方について」を公表、約2兆円の「教育国債」を提案

主な成果

  • 災害時、コロナ禍における財政措置の実現
  • 私学助成(経常費補助)における機能別配分の強化(2023年)
  • 税制改正の成果:寄附金控除の拡充(2007年)
  • 企業寄附の損金算入限度枠の拡大(2008年)
  • 学校法人への個人寄附の税額控除制度の導入(2011年)
  • 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設(2013年[2026年3月末で終了])

設置者を問わず機能に応じた公財政支援を
教育の質を高め日本の未来を支える

1.国私間の格差

国私間の公的支援の格差は拡大し、学生一人当たりの基盤的支援は、私大生約14万円に対し国大生約177万円と13倍もの開きがあり、家計負担は国立の2.3倍に及ぶ。さらに施設・設備面の格差は大きく、施設・設備費の補助は過去20年間で170億円から91億円へとほぼ半減し、学生一人当たりでは国立の約32分の1にとどまる。

1975年に成立した私立学校振興助成法の附帯決議では経常的経費の2分の1補助が目標とされたが、その割合はいまや8.3%に過ぎない。しかも経常費補助は配分基準に基づき算定されているにもかかわらず、実際の配分は予算上限によって圧縮され、本来の額の6割にも満たない状況である。

学生1人当たりの公財政支出・家計負担と、施設設備関連補助金を国私で比較したグラフ。公財政支出は私立大学14万円に対し国立大学177万円で13.0倍、家計負担(授業料等)は私立大学125万円に対し国立大学54万円で2.3倍。施設設備関連補助金は私立大学0.7万円に対し国立大学23.8万円で32.3倍の開きがある。
私大連フォーラム2019「高等教育政策と公財政支援」の会場。壇上の登壇者を大勢の参加者が聴いている様子。
「公財政支援」を初めて中心テーマに据えた私大連フォーラムを開催(2019.5.28)左から、曄道常務理事、鎌田会長、渡邉中教審会長・経団連審議員会副議長、神田財務省主計局次長、田中常務理事(いずれも当時)

2.「2兆円の教育国債」の創設を提言

私大連は、国公私立の設置形態に関わらず対等に競い合える環境を整える「イコール・フッティング」を提唱してきた。2024年、この考えを基に今後を見据えた「新たな公財政支援のあり方について」を公表し、約2兆円の「教育国債」を新規財源として発行することを提案した。これに既存の国立大学運営費交付金、私大経常費補助金、学生修学支援新制度の予算を合わせ、総額4兆円を「教育財源」として機関補助と個人補助へ再配分するというスキームである。あわせて、国立大学の授業料上限規制を撤廃して現実適合化を図り、修学支援の充実と私大への機関補助増額によって、真に公平な競争環境を整備することを求めた。

記者会見の会場で、私大連の役員4名が並んで着席し説明している様子。
記者会見で「新たな公財政支援のあり方について」を公表し、約2兆円規模の「教育国債」の創設を提案(2024.8.7)左から、篠原常務理事、曄道副会長、田中会長、前田副会長(いずれも当時)

3.私学助成(経常費補助)分配の見直し

大学への公的支援は「国公私」という設置形態による区分ではなく、それぞれの機能や役割に応じて重点化すべきである。研究拠点型、高度専門人材育成型、地域課題解決型など、大学の役割が多様化する現代において、社会課題に対応した私立大学の人材育成を加速させるには、私学助成(経常費補助)の配分方法の転換が不可欠である。各大学の機能・特色、教育研究の質、社会貢献度に応じた評価連動型の支援へとシフトすることが求められる。

私大連は、「経常費補助の純増」を前提とした上で、理工農系学部などの単価引き上げをはじめ、機能や成果に応じたメリハリのある重点配分を主張している。

大臣室で、私大連の役員と国会議員が財務大臣を囲んで陳情している様子。
私大連役員と私大を応援する歴代文部科学大臣等が加藤財務大臣に陳情(2024.11.28)左から、末松議員、中曽根議員、曄道副会長、伊藤常務理事、田中会長、加藤財務大臣、遠藤議員、松野議員、永岡議員、中村議員、柴山議員、田野瀬議員(いずれも当時)

4.東日本大震災やコロナ禍における財政支援

災害大国である日本において、近年の大規模災害は社会インフラに多大な影響を与えている。さらに2020年からは、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックという未曽有の事態にも直面した。こうした予測困難な状況下にあっても、公教育を担う私立大学には学生の学びを継続させる責務がある。私大連は、いち早く学生と大学への緊急支援措置を国に対して要望した。

2011年の東日本大震災では、被災学生への授業料減免や奨学金の特例措置に加え、私立学校施設災害復旧事業に基づく「災害復旧費の2分の1補助」が適用された。さらに、私大連の要望等を背景に、被災した学校法人の極端な財政負担を軽減するための特別助成法案が国会に提出されるなど、法制化に向けた検討も行われた(結果は審議未了)。

2020年からのコロナ禍においては「学生の学びの継続」と「オンライン教育への移行・感染対策」への財政支援を強く求めた。その結果、困窮学生への現金給付や授業料減免措置が講じられ、大学がおこなった減免分を国が私学助成等で補填する仕組みの継続や、ICT環境の整備に向けた大規模な補助金も創設された。私大連は、休校やオンライン化、感染対策によるコスト増に直面する現場の状況を踏まえ、私学助成の増額とコロナ禍に対応する大学への特例措置を要望し、これが契機となり、法改正を待たずに私学助成の特別補助枠拡充や大型補正予算の編成が実現した。私大連の先導的な要望活動は大きな成果を収めることとなった。

文部科学大臣室で、大臣とテーブルを挟んで私学団体の会長らが意見交換している様子。
松本文部科学大臣と全私学連合各会長が私学振興予算について意見交換(2026.7.23)左から2人目から、伊藤会長、松本文部科学大臣(いずれも当時)