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私大連の役割と貢献

私大連の歩み

  • 私立大学を取り巻く環境が大きく変化する中、
  • 2001年以降の25年間で私大連が注力してきた
  • 7つの特徴的な取り組みを振り返る

Topic02

修学支援制度の創設・拡充

2018年の給付型奨学金の拡充、及び2020年の「高等教育の修学支援新制度」の創設により、少子化対策も見据えた学生個人への国費投入の流れが本格化した。

私大連はこれまで、学生の修学支援について、家庭環境や家計支持者の所得水準に左右されない制度設計を求めてきた。とくに国立大学に比べ授業料負担の重い私大生に対しては、格差を考慮した手厚い支援の必要性を一貫して主張している。また2018年には日本私立大学団体連合会を通じて、授業料後払いスキームである「高等教育機会均等拠出金制度」を取りまとめた。この提案は、2024年に創設された国の大学院生向け「授業料後払い制度」に大きく反映された。

一方で、現行の「修学支援新制度」は、私立大学の減免額に上限が設けられるなど国私間の格差が固定化しており中間層への支援も不十分である。私大連はこれらに対する是正を強く求め、奨学金における格差解消と中間層への対象拡大に向け、今後も取り組みを続けていく。

主な活動

  • 「奨学金等調査」による加盟大学の奨学金制度の把握
  • 「学生生活実態調査」による学生の経済状況の把握
  • 2016年 「給付型奨学金の創設にかかる要望」を提出
  • 2018年 「高等教育無償化の論点」を提出
  • 2018年 「高等教育機会均等拠出金制度」の創設を提言
  • 2019年 高等教育の無償化に関する課題について国会議員に陳情

主な成果

  • 2018年 国による初めての給付型奨学金制度が創設
  • 2020年 「高等教育の修学支援新制度」が創設(授業料等の減免と給付型奨学金)
  • 2024年 「授業料後払い制度(大学院修士段階)」が創設

経済的な事情で学びを諦めることのないように
国私の別なく意欲ある学生へ支援

1.給付型奨学金の創設に向けた要望と実現

国立大学に高所得層の学生が、学費の高い私立大学に中間・低所得層の学生が多く在籍するという「ねじれ現象」の中で、私立大学は独自の奨学金や授業料減免による支援を重ねてきた。同時に私大連は、国に対し「国私」という枠組みではなく「個人」の経済状況に着目した修学支援への転換と、返還義務のない「給付型奨学金」の創設を強く要望してきた。

従来の日本の奨学金は貸与型が中心であり、若年層の低所得化による毎月の返還負担や、近年の金利上昇に伴う返還総額の急増が深刻な社会問題となっている。こうした私大連の働きかけや問題意識が後押しとなり、2018年、経済的に困窮する学生を国が返還不要で支援する「給付型奨学金制度」が創設されるに至った。

家庭の年間収入別学生割合の推移を示したグラフ。私立大学は年収400万円未満の学生が2004年度の12.8%から2024年度の22.8%へ増え、900万円以上は39.6%から29.8%へ減少している。国立大学も400万円未満が15.3%から20.0%へ増えている。
※各年度「学生生活調査」(日本学生支援機構)を基に私大連事務局が作成

2.高等教育の修学支援新制度の実現と私大連の主張

2020年、授業料減免と給付型奨学金を柱とする「高等教育の修学支援新制度」が開始された。高等教育へ多額の国家予算が措置されたことは歓迎すべきである一方、本制度は低所得者層に対し、国立大生には実質無償化を適用するが、私立大生には約70万円の支援にとどまるなど、国私間の格差をさらに拡大させる懸念を内包していた。

私大連は、国私間における公財政支出や学生納付金の格差を是正しないまま現行の減免措置等を拡充すれば、従来の私立大学向け授業料減免の公的支援対象者が縮小し、国私間の公財政支出格差(=納税者間の不平等)がさらに深刻化しかねないと指摘。大学の設置形態に捉われず、学生一人ひとりの能力と経済的事情に応じたきめ細かい支援体制の構築を強く主張した。

さらに、新制度の減免対象が授業料のみに限定され、「施設・設備費」などが除外されている点も大きな課題である。私大連は支援対象を中間層まで拡大することを含め、実効性のある制度改正を引き続き求めている。

財務大臣室で私大連の役員が財務大臣に制度上の課題を説明している様子。
修学支援新制度の創設に先立ち、麻生財務大臣(当時)に制度上の課題や国私間格差を説明し、制度設計への反映を求めた(2019.12.11)左から、田中常務理事、福原常務理事、麻生財務大臣、長谷山会長(いずれも当時)

3.授業料後払い制度の創設

私大連はかねてより、在学中の家計負担を解消し、卒業後の所得に応じて授業料を納付する仕組みへの転換を提唱してきた。2018年には日本私立大学団体連合会において「『人づくり』を支える高等教育財源のあり方」を取りまとめ、オーストラリアのHECS(高等教育拠出金制度)を参考に日本版の「高等教育機会均等拠出金制度」を提案した。これは、在学中は授業料を徴収せず、卒業後に一定以上の所得を得た段階で拠出を求める、いわゆる「出世払い」型の財源構想である。

この先進的な提言は、2024年度から開始された大学院修士段階(博士前期課程)を対象とする国の「授業料後払い制度」として具現化し、経済的理由による進学断念を防ぐ門戸拡大への確かな一歩となった。

私大連の会長が自民党政調会長に提言書を手渡している様子。
岸田自民党政調会長に「『人づくり』を支える高等教育財源のあり方」を手交(2018.6.5)左から、村田副会長、岸田自民党政調会長、鎌田会長(いずれも当時)

4.中間層への支援とこれからの修学支援

低所得層への修学支援制度が拡充される一方で、支援対象から外れる中間層の負担は重い。2020年の「高等教育の修学支援新制度」の開始に伴い、それまで私学助成で措置されていた「授業料減免事業等支援」が廃止されたことで、新制度の対象外となった所得中間層への公的支援は事実上消失した。しかし、多くの私立大学は中間層への減免措置を継続せざるを得ず、大学独自での支援を余儀なくされている。その支出総額は2024年度で約930億円に達しており、大学経営を圧迫する一因となっている。

近年、国は中間層への支援を段階的に広げつつあるものの、その対象は理工農系学部や多子世帯などに限定されている。私大連は、学問分野や世帯状況といった属性に関わらず、すべての所得中間層へ支援を拡大するよう継続して求めている。

奨学費等と経常費補助金の推移を示した棒グラフ。私立大学の実質的な負担額である奨学費は2015年度の801億円から2024年度の927億円へ増加し、経常費補助金「授業料減免事業等支援」は2020年度の修学支援新制度の創設に伴って廃止されている。
※日本私立学校振興・共済事業団の「今日の私学財政[大学・短期大学編]」における各年度の資金収支計算書(大学部門)及び各年度の「私立大学等経常費補助金特別補助内訳表」を基に私大連事務局が作成。※奨学費は、2019年度までは当該項目の金額から授業料免除に係る経常費補助金額を差し引いた額、2020年度以降はその他奨学費支出の金額(修学支援事業奨学費支出を含まない)。※私立大学等経常費補助金による補助額は、「私立大学等経常費補助金特別補助内訳表」の「Ⅵ 授業料減免及び学生の経済的支援体制の充実」における配分額。なお、当該補助金は、2020年度から修学支援新制度の創設に伴い廃止されている。