いち早く高等教育の未来を示し
先進性を持った政策提言を次々に発信
1.「未来を先導する私立大学の将来像」を提言
2018年、文部科学省が「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」の審議を経て11月に答申をまとめる中、私大連はこれに先駆けて議論を重ね、同年4月に「未来を先導する私立大学の将来像」を策定した。
本提言では、環境分析に基づき私立大学が育成すべき能力を明示。その上で、大学自らの姿勢や国立・私立の機能と役割、教育のあるべき姿、さらに構想実現に必要な国や企業からの支援を提示し、将来の方向性を打ち出している。またすでに、大学全体の規模や配置の適正化にも踏み込んでおり、特に地方における大学間の連携・統合の必要性を強調している。
2.「ポストコロナ時代の大学教育のあり方」を提言
コロナ禍に直面した私立大学は、この経験を糧に「学びを継続するための危機管理」と「新たな教育手法の模索」に関する緊急提言を行った。同時に、先に公表していた「私立大学の将来像」の再考にも着手した。本提言では、ポストコロナを見据えた大学教育の方向性として、①デジタル・オンラインの活用、②グローバル化、③リカレント教育、④地方創生と大学間連携、⑤高大接続、⑥課外活動の改革を提示。さらに、学修成果の可視化、情報公開、内部質保証のあり方に言及し、緊急的課題と中長期的課題に区別した上で国に対する具体的な規制緩和や財政支援を求めた。規制緩和の提案については、遠隔授業の修得単位数上限の撤廃や単位の実質化、複数年での定員管理など、特例措置を含む多くの項目がその後撤廃・実現されるに至った。
3.中央教育審議会「『知の総和』答申」に対する私大連の考えを表明
急激な人口減少と産業構造の転換が進む中、2040年を見据えた高等教育のあり方が問われている。中教審の「『知の総和』答申」の取りまとめにおいて、私大連は目指すべき方向性と包括的な施策を提言した。具体的には、設置基準の形式主義からの転換や大学院教育の高度化や文理横断教育による「教育の質」の向上を主張。大学の「規模の適正化」については、現状維持の困難さを認めつつも、一律の基準による縮小は避けるべきとした。また、今後は国公私の設置形態を超え、各大学を「機能別」に捉える重要性を指摘し、とりわけ学生の8割を擁する私立大学における教育の質保証が不可欠であると強調した。最終的に、答申の核である「質」「規模」「アクセス」の3つの論点は、「さらなる教育の質の高度化」目指すべきでそれを中心に議論すべきという考えを示し、多くの提案が答申に反映される結果となった。
4.「私立大学理工農系分野の量的・質的充実と持続的発展」のとりまとめ
文部科学省は、デジタル化や脱炭素をけん引する高度理系人材の育成に向け、2022年度第2次補正予算で3002億円を確保し「大学・高専機能強化支援事業」の基金を創設した。理工系学生の約6割が私立大学に在籍している背景から、私大連は本事業を主に私立大学を対象としたものと捉え、特設プロジェクトを編成した。私大連が重んじたのは、予算の規模だけでなく、教育の中身と人材育成の質をともに高める「量的・質的な充実」である。私立大学が申請・参画しやすくなるよう課題を整理し、外部資金要件の緩和や補助金の早期交付、選定件数の拡充などを提言した。これらは実際の制度設計に反映され、本事業の推進を強く後押しする成果となった。