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私大連の役割と貢献

私大連の歩み

  • 私立大学を取り巻く環境が大きく変化する中、
  • 2001年以降の25年間で私大連が注力してきた
  • 7つの特徴的な取り組みを振り返る

Topic03

高等教育の将来像の提示と政策提言

私大連は、急激な社会環境の変化に伴い私立大学が厳しい局面にあるという危機意識とともに、学生の約8割の教育を担っているという責務を深く認識し、主体的な発信を強化している。近年さらにその姿勢を強め、中長期的観点から高等教育のあるべき方向性を提示することで、社会や政策に対して大きな影響を与え続けている。

具体例として、2015年の「これからの私立大学のあり方に関する提言」を起点に、2018年の「未来を先導する私立大学の将来像」、2021年の「ポストコロナ時代の大学のあり方」などの継続的な提言活動が挙げられる。これらは一貫して「学生の学び」の見地に立ち、エビデンスに基づいた将来的な先進的施策を提示したものである。私立大学が自ら取り組むべき大学改革のロードマップにとどまらず、国による財政支援のあり方や硬直化した規制の緩和など、多角的な研究・分析に裏打ちされている。さらに2024年には将来の大学像を新たに示す中央教育審議会の「『知の総和』答申」に対し、私大の役割である中間層の重要性を表明。本答申に影響を与えた。

特筆すべきは、これら一連の提言において提示した「高度人材を育成する大学院教育システムの見直し」「入試改革を含む文理横断教育の推進」「成長分野をけん引する人材育成の実質的課題」「オンライン授業の戦略的推進」といったテーマである。これらは当時、先進的な問題提起であったものの、現在では高等教育政策における中心的な論点として定着しており、私大連の先見性と政策提言能力の高さを実証している。

将来像の策定・公表

  • 2015年 「これからの私立大学のあり方に関する提言」
  • 2018年 「未来を先導する私立大学の将来像」
  • 2021年 「ポストコロナ時代の大学のあり方」
  • 2024年 「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について(中間まとめ)(「知の総和」答申)」に対する意見

国の政策動向を踏まえたテーマ別提言・報告

  • 2023年 「大学院リカレント教育の再定義と再評価」
  • 2025年 「文理横断教育の実践と推進」
  • 2025年 「私立大学理工農系分野の量的・質的充実と持続的発展」
  • 2026年 「私立大学大学院教育の推進と変革」
  • 2026年 「世界に選ばれる日本の私立大学の国際化に向けて」
私大連が公表してきた提言の表紙を年代順に並べた図。2018年「未来を先導する私立大学の将来像」、2021年「ポストコロナ時代の大学のあり方」、2023年「大学院リカレント教育の再定義と再評価」、2025年「文理横断教育の実践と推進」、2025年「私立大学理工農系分野の量的・質的充実と持続的発展」、2026年「持続可能な未来社会を拓く私立大学大学院教育の推進と変革」。

いち早く高等教育の未来を示し
先進性を持った政策提言を次々に発信

1.「未来を先導する私立大学の将来像」を提言

2018年、文部科学省が「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」の審議を経て11月に答申をまとめる中、私大連はこれに先駆けて議論を重ね、同年4月に「未来を先導する私立大学の将来像」を策定した。

本提言では、環境分析に基づき私立大学が育成すべき能力を明示。その上で、大学自らの姿勢や国立・私立の機能と役割、教育のあるべき姿、さらに構想実現に必要な国や企業からの支援を提示し、将来の方向性を打ち出している。またすでに、大学全体の規模や配置の適正化にも踏み込んでおり、特に地方における大学間の連携・統合の必要性を強調している。

記者懇談会の会場で、多くの報道関係者を前に登壇者が説明している様子。
「未来を先導する私立大学の将来像」について、記者懇談会を開催。多くの報道関係者が参加して活発な意見交換が行われた(2018.4.24)

2.「ポストコロナ時代の大学教育のあり方」を提言

コロナ禍に直面した私立大学は、この経験を糧に「学びを継続するための危機管理」と「新たな教育手法の模索」に関する緊急提言を行った。同時に、先に公表していた「私立大学の将来像」の再考にも着手した。本提言では、ポストコロナを見据えた大学教育の方向性として、①デジタル・オンラインの活用、②グローバル化、③リカレント教育、④地方創生と大学間連携、⑤高大接続、⑥課外活動の改革を提示。さらに、学修成果の可視化、情報公開、内部質保証のあり方に言及し、緊急的課題と中長期的課題に区別した上で国に対する具体的な規制緩和や財政支援を求めた。規制緩和の提案については、遠隔授業の修得単位数上限の撤廃や単位の実質化、複数年での定員管理など、特例措置を含む多くの項目がその後撤廃・実現されるに至った。

座談会「ポストコロナ時代の大学のあり方 −新たな大学教育の展開と課題−」の告知バナー。登壇者3名の顔写真と氏名が並んでいる。
座談会のYouTube配信画面。
ポストコロナ時代の大学のあり方をテーマに座談会を開催しYouTube配信。(2021.7.27)左から、田中前常務理事、田中会長、伊藤常務理事(いずれも当時)

3.中央教育審議会「『知の総和』答申」に対する私大連の考えを表明

急激な人口減少と産業構造の転換が進む中、2040年を見据えた高等教育のあり方が問われている。中教審の「『知の総和』答申」の取りまとめにおいて、私大連は目指すべき方向性と包括的な施策を提言した。具体的には、設置基準の形式主義からの転換や大学院教育の高度化や文理横断教育による「教育の質」の向上を主張。大学の「規模の適正化」については、現状維持の困難さを認めつつも、一律の基準による縮小は避けるべきとした。また、今後は国公私の設置形態を超え、各大学を「機能別」に捉える重要性を指摘し、とりわけ学生の8割を擁する私立大学における教育の質保証が不可欠であると強調した。最終的に、答申の核である「質」「規模」「アクセス」の3つの論点は、「さらなる教育の質の高度化」目指すべきでそれを中心に議論すべきという考えを示し、多くの提案が答申に反映される結果となった。

4.「私立大学理工農系分野の量的・質的充実と持続的発展」のとりまとめ

文部科学省は、デジタル化や脱炭素をけん引する高度理系人材の育成に向け、2022年度第2次補正予算で3002億円を確保し「大学・高専機能強化支援事業」の基金を創設した。理工系学生の約6割が私立大学に在籍している背景から、私大連は本事業を主に私立大学を対象としたものと捉え、特設プロジェクトを編成した。私大連が重んじたのは、予算の規模だけでなく、教育の中身と人材育成の質をともに高める「量的・質的な充実」である。私立大学が申請・参画しやすくなるよう課題を整理し、外部資金要件の緩和や補助金の早期交付、選定件数の拡充などを提言した。これらは実際の制度設計に反映され、本事業の推進を強く後押しする成果となった。

記者懇談会で私大連の副会長2名が報道関係者と意見交換している様子。
「記者懇談会」においてプロジェクトの成果について報道関係者と意見交換(2025.6.9)左から、植木前副会長・文理横断教育の推進検討プロジェクト委員長、伊藤副会長・理工系分野の充実・推進プロジェクト委員長(いずれも当時)