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私大連の役割と貢献

私大連の歩み

  • 私立大学を取り巻く環境が大きく変化する中、
  • 2001年以降の25年間で私大連が注力してきた
  • 7つの特徴的な取り組みを振り返る

Topic05

就職・採用活動の健全化に向けた取り組み

1952年に就職協定が策定されて以来、ルールの形骸化に伴う採用活動の早期化・長期化は、大学教育における重大な課題であった。私大連は、学生の学修時間を保障するために採用活動の早期化の是正を一貫して要求してきた。また経済動向による内定取り消しやコロナ禍・災害時などの緊急事態に対しても、速やかな特別措置を求めてきた。

2018年、経団連の中西会長(当時)が「就職ルールを経団連で策定しない」方針を表明したことで、新卒採用は大きな転換期を迎えた。就職・採用活動に関する課題は、活動時期だけにとどまらず、大学における教育システムや教育の質の確保のあり方、さらには雇用システムなど、社会制度に大きな影響を及ぼす重要政策を決定づけることとなるため、私大連ではただちに検討委員会を立ち上げ、対応に乗り出した。一方で産業界との連携を強化し、2019年には経団連と大学が公式に対話する「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」(産学協議会)が発足した。この協議会は就職問題にとどまらず、大学教育に関する社会的課題を公式に協議する初の場として社会的な注目を集め、マスコミにも広く報道された。今後も大学と産業界の連携は不可欠であり、産学協議会は私大の意見を力強く発信する重要なプラットフォームとなっている。

主な活動

  • 就職問題懇談会を通じた就職・採用活動の安定に向けた働きかけ
  • 採用選考活動の早期化の是正を要望、内定取り消し問題への対応(2008年、国立大学協会・公立大学協会と連携)
  • 2017年 「ワンデーインターンシップの弊害是正に向けて」を公表
  • 2019年 「新たな時代の就職・採用のあり方と大学教育」を公表
  • 「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」への参画(2019年〜)

主な成果

  • 「ワンデーインターンシップ」の表記廃止を実現(全国求人情報協会等との共同声明、2020年)
  • インターンシップを4つの類型に整理し、「三省合意」の改正に反映(2022年)
産学協議会の発足式で、大学と産業界の関係者が並ぶ会場の様子。
産学協議会の発足にあたり挨拶する中西経団連会長(当時)(2019.1.31)

大学と産業界が向き合う場をつくり
学生の学びと主体的な進路選択を支える

1.リーマン・ショックがもたらした就職・採用活動等への対応等

各大学団体の代表者3名が並んで共同要望について説明している様子。
採用活動の早期化の是正を各大学団体と共同で要望(2008.7.9)左から、永井連合会就職問題委員会委員・私大連常務理事、平野国大協教育・研究委員長、佐々木公大協会長(いずれも当時)

私大連の学生委員会は、就職問題懇談会などを通じて、文部科学省や経済団体に対し、新規学卒者の採用課題に関する意見発信を毎年継続してきた。

2008年には、国立大学協会・公立大学協会と初めて足並みをそろえて共同記者会見を開き、採用活動の早期化是正を強く要求。同年7月には経団連へ要請書を手交した他、文部科学省に対しても早期化が大学教育に与える悪影響への理解を求めた。これらの活動は経団連「倫理憲章」改訂(2011年)につながり、広報開始後ろ倒しの契機となった。

さらに同年秋、リーマン・ショックに伴う急激な景気悪化により、新卒者の内定取り消しが相次ぐ社会問題が発生し、これを受けて文部科学大臣が就職問題懇談会の特別会合を緊急招集した。各大学における内定取り消しの現状と対応策が協議され、私大連は他の大学団体と緊密に連携し、学生の学修時間を担保する健全な就職・採用活動の実現に向けて迅速に対応した。

2.ワンデーインターンシップの表記廃止の声明公表

2016年卒の就職・採用活動から採用広報活動の解禁が学部3年生の「12月」から「3月」へと後ろ倒しされた。この解禁の遅れは、企業側が解禁前に学生との接触を図る動きを加速させ、結果として就業体験を伴わない「ワンデーインターンシップ」の横行を招いた。

これにより学生の学修時間が削られ、留学機会が失われるなどの弊害が深刻化したため、私大連は2017年に「ワンデーインターンシップの弊害是正に向けて」を公表し、ミスマッチ解消という本来の意義を訴え、業界団体や就職情報会社に是正を求めた。さらに2020年には、主要な就職情報会社が加盟する全国求人情報協会などとの初の共同声明を発表し、「ワンデーインターンシップ」という表記の廃止を実現させた。

記者会見の会場で就職情報団体の関係者と私大連の役員が並んで着席している様子。
記者会見で就職情報団体と共同声明を公表(2020.3.19)。左から3人目、説明する土屋常務理事(当時)

3.「新たな時代の就職・採用のあり方と大学教育について」の公表

経団連が2018年10月に「採用選考に関する指針」の廃止を表明したことを受け、日本の学生の約8割を育成する私立大学が率先して意思表明を行うべきだとの認識の下、私大連はただちに対応。就職・採用活動の早期化・長期化が大学教育に与える悪影響や学生の混乱を防ぐための議論を重ね、2019年に「新たな時代の就職・採用のあり方と大学教育について」と題した提言を公表した。

本提言では、大学の授業をはじめ、留学やインターンシップといった多様な経験を積む時間を「学生経験時間」と定義し、この時間の確保を前提に、学生が自由かつ主体的に進路を選択できる「複線的な採用方法」の導入を提案した。企業団体や文部科学大臣、経済再生担当大臣等への説明の他、同年5月には総理大臣直轄の「未来投資会議」でも提示し、広く働きかけを行った。

未来投資会議の会場で、私大連の常務理事が資料を手に説明している様子。
安倍総理(当時)直轄の「未来投資会議」にて私大連の考えを土屋常務理事(当時)が説明(2019.5.15)

4.経団連と大学の連携による「産学協議会」の発足

報告書『産学で変えるこれからのインターンシップ −学生のキャリア形成支援活動の推進−』の表紙。

2019年、経団連の呼びかけにより「採用と大学教育の未来に関する産学協議会(産学協議会)」が発足し、私大連も参画した。これは、経団連が就職ルールの指針策定から手を引いたものの、就活の課題解決や大学の人材育成において「産学の対話」が不可欠であるという共通認識に基づくものであった。同協議会では、とくに問題視されていたインターンシップの定義を刷新し、企業説明会との区分を明確化、就業体験の有無などに応じて「オープン・カンパニー」「キャリア教育」「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」「高度専門型インターンシップ」の4類型に整理した。この見直しは2022年に公表され、同年の「三省合意」の改正にも反映された。

現在、議論は就職問題の枠を超え、博士人材育成のアクションプラン策定やリカレント教育など、国際社会で活躍する高度人材育成へと発展している。